2018年8月6日月曜日

ベビーカステラ(No.181)

ベビーカステラが好きです。

最近、時を超えてそのルーツ
にひょっこりと出会いました。

これは記録せねばなるまい。

ベビーカステラをめぐる旅を。

夜店の屋台なんかで売ってる、
あの仰々しいマシーンで焼く
ベビーカステラ。

見かけると、条件反射的に買
ってしまうんですよね。
味もまあまあ好きなんですが、
何といっても魅力は、あのマ
シーン(ベビーカステラ器って
いうらしい)

未来からやって来たタコ焼き
器みたいな感じで、シビれます。

生地落とし(最近は、チャッキリ
って機械で落とすのが主流です
が、昔ながらの手落としが好み)
の見事な手さばき、鉄板を回転
させる機械音、出来上がったベ
ビーカステラを専用スコップで
操る一連の流れも見応え十分です。

そんな、ベビーカステラの魅力
に触れたのは、子ども頃。
住んでいた神戸市の須磨にある
須磨寺の縁日でした。

毎月21日の縁日には、参道の入口
付近に、ほぼ必ずベビーカステラ
の屋台がありました。
その職人的な技は見事で、子ども
心にウットリ。
そして、絶妙に混じっている半熟
(中身が生焼けで、クリームみたい
な状態)がまた美味い。

しっかりと、ベビーカステラ魂を
注入されました。


須磨には高校生の頃まで住んでい
たのですが、さすがに縁日に行く
こともほとんどなくなると、単に
ベビカラ(長いので短縮表記ね)
かしいね~、な感じになっていき
ました。
が、もちろんベビカラ魂を忘れた
わけではありません。

ーーーーーーー

さて、ここからが、やっと本題。
時は50年ほど流れます。

須磨の前、産まれてから小1までは、
その隣の区である長田に住んでいて、
この夏に、ひょんなことから長田に
行ってみたんです。

目的は、その頃近所だった長田神社
にお参りする事と、高取山に登る事。
52年ぶりです。



長田神社も高取山も、亡き母と何度
か一緒に行った記憶がうっすらとあ
る程度なんですが、なぜかずっと気
になる場所だったんですよね。

節分行事・追儺式で有名な長田神社。
新田次郎の小説「孤高の人」の冒頭
の舞台である高取山。
長田の住人は、自然に山に手を合わ
せ、長田神社を拝みます。


他の用事もあったので、朝一で
長田神社にお参りをし、その脚で
高取山へ向かいました。

その日は、朝から何も食べておらず、
何か食べ物が手に入る店はないかな、
と少しだけ遠回りをしたところに、
ひょっこり現れたのが、その加島の
玉子焼き屋さんです。


玉子焼き?と気になって店を覗くと、
そこはなんと創業95年にもなる
ベビカラ専門店ではありませんか。
もちろん、入りましたよ。


どうやら、ここに店を開いたのは
4年前。それまでは、長田神社の参道
で屋台を出していた、とお店の人に
聞きました。

いいなぁ、ベビカラ専門店。
ボク、ベビーカステラ大好きなんです
よ~、とか話しながら1番少ない袋を
購入。

コレが実に美味しかった。
袋に入っている焼き立てを、一個ずつ
大切に食べながら高取山を登りました。


長田神社にもお参りでき、高取山
にも登り、52年ぶりの宿題を片付
けたような気分で、とても満足。
それに、たまたま好きなベビカラの
お店にも出会えたし。

用事も済ませ、帰りの夜行バスの
中で、記念にと捨てずに取っておい
た加島の玉子焼き屋さんの袋を見た
時に、驚きの事実にやっと気が付き
ました。


そこには、須磨寺参道の文字が。


52年ぶりに訪れた産まれ故郷で、
たまたま出会ったお店の味は、
ベビカラ好きにさせた屋台の
味そのものだったんです。

神事の後にお供物を食べることを
直会(なおらい)と言うんですが、
これって、期せずしてまさかの
ベビーカステラ直会


久しぶりに訪れた生まれ故郷の
神社と山は、粋な演出で出迎えて
くれたようでした。



ごちそう、ごちそう。

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