2012年1月23日月曜日

世を正す画家なのか?(No.143)

神奈川県立近代美術館葉山で開催中の
「ベン・シャーン クロスメディア・
アーティスト」展を観に行った。

ベン・シャーン(Ben Shahn 1898~
1969)は、自分が好きな画家No.1。
しかも、近所の美術館での展示となれ
ば、もう無条件に行かねばならなぬ感
満々。

ベン・シャーンが若い頃に学んだ学校
にも入学したし、開設に協力した美術
教育機関の流れを汲む会社とも契約
した位の、もう盲目のスキスキ具合。

この日は、主任学芸員の方のギャラリ
ートークを楽しみ、充実の展示作品と
向き合った後、帰宅後に日曜美術館で
の特集をテレビ観戦して、ベンシャー
ン神社にお参り(コレは嘘ね)のフル
コースお腹一杯ごちそうさま状態なの
だった。

それにしても、これだけシリアスな
題材を扱いながらも、どこかユーモラ
スで、おしゃれな感じが随所にするの
は何故なんだろうか?

いわゆる社会派的な作品が多いため
か、「世直し画家」?なんて呼ばれて
いたりするのだが、どうも世を正すと
いうより、「わしゃ、絵で淡々と記録
しているだけじゃけんね〜。」的な
クールさが見える。
しかも、恐ろしく芯の強いブレない
意志を伴って。

通常、回顧展で接する画家の作品は、
その作風への葛藤が感じられるのだ
が、この人の作品の場合は、それが
ほとんど感じられない。
その代わり、作家内面の葛藤は、猛烈
に伝わってくる。しかも見た目はユー
モラス。このアンバランスが何とも言
えない魅力なのかもしれないなぁ。
クールなエンジン全開状態、または
激辛あんこ饅頭か?(困)

世の名のある画家の、絵に真摯に向き
合う姿勢にはいつも感心するが、
ベン・シャーンの場合は、もっと向こ
う側の、もっと幅広い何かを見つめて
表現していたような気がする。そん
な、遠くて柔らかくて幅広い視線が、
この画家の魅力に違いない。

と、美術館からの相模湾ビューを眺め
ながら勝手に納得したのだったよ。


それにしても、昨年末のセガンティー
ニ展や今回のベン・シャーン展は、
館内満員。
理由はどうあれ、良い絵に触れようと
する人が多いのは喜ばしい。
どっちも好きな画家という欲目もあ
るが、絵って魂のエネルギーになる、
と思う。

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