2012年1月13日金曜日

表現イロイロ(No.142)

昨年末は、青春小説一気読み(+DVD)をした。

50代オッサンとしての、まっ、心構えとして。
と共に、やっぱり小説の表現には関心があるので。

いずれも、ちょっと前の作品だが、レベルは高く、
同時に多くの共感を得ているものをチョイスした。
自分が体験したジャンルを選んだのも、共感を重視
したため。青春モノって、キュンとするしね。

まず「風が強く吹いている」

箱根駅伝の話なのだが、弱小集団がヤル気を出して
困難に挑戦する、というまさに王道のストーリー。
登場するキャラクター造形が秀逸で飽きさせない。
陸上競技の中でも、駅伝はドラマ性が高く、物語に
なりやすい。そういった点も含めて、登場人物たち
が、キチンと機能しているのには感心した。
やっぱり、良い設定と少々クセのあるキャラクター
を配置すると、物語が勝手に動き出す好例。

次に「一瞬の風になれ」

高校生の陸上競技、特に短距離リレーの感じが堪能
できる。主人公のラフな語りで進むのが、少し甘い
雰囲気で、個人的には好きな文体ではない。にもか
かわらず、3冊一気読みできるのは、やっぱり作者の
力量なのかな。表現方法で印象が大きく変わる好例。
自分自身が、リレー競技でインターハイ地区優勝・
全国大会出場経験があるため、もう完全に共感体験
できたので、あまり冷静に読めなかった(冷静に読
む必要は全然ないけど)。
高校陸上の理想的すぎる生活ストーリー。理想を、
読みやすく親しみのもてる語りで表現するのも悪く
ないな〜。

そして「武士道シックスティーン」と「武士道セブ
ンティーン」

前2作が、女性作家が男子を描いているのと対照的
に、男性作家が女子を描いているのが大きな違い。
文体はこれが一番しっくりくる、単なる好みなんだ
けど、全体構成もシッカリ組み立ててあり隙がない。
剛と柔の使い分けも見事で、メリハリ感が凄い。
まだ、続編の「武士道エイティーン」もあるが、そ
れは文庫になってのお楽しみとしておこう。
やっぱり主人公の個性的な外れ感が鍵だな。魅力的
な人間をしっかり描く、というのが大切なんだな、
としみじみと感じた作品だった。

おまけで「虹の女神」のDVD

大学の映画サークルでの物語。全体に漂う雰囲気が
ほんとに気持ち良いというか懐かしいというか。
もの創りの楽しさや苦労が、学生生活の不安定感と
相まって、何とも言えない日本的箱庭感が漂うのが
いい感じ。海外映画では、ほとんど味わえないドメ
スティックな楽しみと切なさが心にしみる秀作。
好きですコレ。


と、青春モノを一気読みしたおかげで、何だか浄化
された気分になったのだった。

あ〜、若いって、それだけで無条件にイイな。と、
正しいオッサン道を歩めたのだった。

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