2019年9月17日火曜日

かがくのとびら展/前編(No.184)

関わらせていただいた「科学展」で、
絵本の価値を再確認させられました。



その感想を。
前編は全体感想、
後編は自分の作品を交えて、です。

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2019年の夏、8月23日から9月8日に、
東京千代田区のアーツ千代田3331で
開催された、
「あけてみよう かがくのとびら展」。


福音館書店 の月刊絵本誌である
「かがくのとも」の創刊50周年を
記念する展示である本展は、
まるで「かがくのとも」という
絵本の中に入って自ら体験して
いくような展示でした。

「絵本」というと、
かわいい、ファンタジー、優しい、
夢のような、等々の甘いイメージで
語られることが多いと思いますが、
本展はあくまで「科学展」。

自動的に次々と楽しい仕掛けが
現れての、ドキドキわくわく、
ではありません。

子どもが自ら、その面白さを
発見していくような展示になって
いました。


時に大人の力を借りて、語り合って
考えながら楽しさを見出していく
手法は、まさに「かがくのとも」
そのもの。

50年、約600冊の「かがくのとも」
の内容が、スッと切り取られ
盛り付けられた料理が並ぶ
美味しくて上質なレストランの
ような味わいでした。
なにせ、素材そのものが素晴らしい
ですからね。

600冊並べたポスターは、
まるでメニューのよう。↓


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中でも個人的に印象深かったのは、
「せみとり めいじん」を元にした、
セミの声で種類を考える展示。↓


見る・聞く・読む・考える、の展示
の面白さを味わうと同時に、
自分の息子とこの絵本を読みながら、
セミ取りをした思い出が蘇ってきて、
ちょっとウルウルしてしまいました。

あ、そうか!
これはただの科学展ではなく、
絵本にまつわる記憶を内包してる
がゆえの、厚みのある展示なのか!
と気づきました。

もちろん、そんな絵本の記憶が
なくても楽しめる展示なのですが、
それだけではなんとももったいない。

この科学展の開会式で、展示監修の
生物学者・福岡伸一氏は、
「視点のレイヤーを調節することで
見えてくるモノがある」と語って
いました。



まさに、600以上の物語が同じ空間に
存在する、かがくのともユニバース的
な展示ですから、視点のレイヤーを
能動的に調整することで、見たり
感じたりすることが大いに変わって
くる展示なんだと感じました。

実に贅沢で奥深い。

そんな科学展に、自分の絵本も
参加させていただいたのでした。



後編へ、つづきます。





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