2012年10月5日金曜日

けっこう途中が面白い(No.155)

作品は、完成した姿が全てなのだが、
えてして制作途中の状態が結構面白
かったりする。

実は、作品を作っている途中段階の
時は「自分は天才なのではないか!」
といった高揚感がある、恥ずかしな
がら。そこを冷静に押さえて、プロ
として「完成」に導く必要があるの
だが、楽しさからいったら断然途中
の方があるのであ〜る。

さて、下の立体物は「高校への数学」
(東京出版)という学習雑誌の表紙
のために作っているものなのだが、
もちろん着色してデータ化して、が
完成。

でも、白模型のような着色前も結構
面白いので、一挙公開(笑)。
もう、画像でしか見られないからね。








う〜ん、工作感があふれてて、なか
なかイイ感じ。

でも、またココから色を塗っていく
のが楽しいんだな〜、コレが。

こういう仕事してると、「子どもの
作品の見所は、制作途中にある」と
いうのが、実感としてホントに良く
分かるゾゥ〜。




いろいろ勉強中(No.154)

春から夏にかけて美術教育の勉強を
楽しんでいる。

本とか講義とか研究会とか、実際に
人に会って話を聞いたり、がメイン。

本を読んだら、その作者の話を聞きに。

「子どもの絵の見方」などの奥村氏
(元文科省教科調査官)

「図工室にいこう」などの辻氏
(元東京都図工研究会会長)


聖心女子大学には、図工の学習指導
要領の話を聞きに。

そこでの講演者・岡田氏(現文科省
教科調査官)には、こどもの城での
ギャラリートークで再びお会いして
話をすることができた。


トントンギコギコ図工の時間の、
内野氏とも。


東京都図工研究会の方々には、特に
お世話になってます状態。現場のベ
テラン教師の方々の一言一言は、と
ても貴重で興味深い。



美育文化フォーラムでは、こどもの
美術に関わる多様な方々とも。

実際に会ったり体験したりする事は、
本当に大事、と今さらながらに感じ
ているのだった。


2012年6月25日月曜日

海の家観察日記(No.153)

フェイスブック内で、日記のように
日々感じた事を書いている。

写真と共に、見て楽しめるように、
と意識しつつアップしてはいるが、
それらは多くの情報の中で流されて
いってしまうので、かなり消耗度は
高く、それがちょっと寂しい。

ので、その一部をコチラに記録して
おくことにした。
まずは、海の家の記録を。ただし、
文章はあえて原文のままであ〜る。
ーーー


5月18日


由比ケ浜は海の家の準備が始まってま
した。もう夏なんだな〜、早いな〜。



6月4日


由比ケ浜です。連なって見えるのが、
材木座海岸。クレーンやらトラックや
らで資材が運び込まれ、海の家の建築
が始まっております。実はコレ、金曜
日の状態で、土日とランニングしなが
ら偵察してきたところ、更にドンドン
進んでいます。

それにしても、砂地に仮設するのにも
様々な方法があるようで、とっても興
味深いですね。特に、基礎をどうやる
かは見応えがあります。砂地を深〜く
掘って電柱状の柱を立てていく「御柱
型」と、やや細めの角柱を数多く砂地
に刺していく「数で勝負型」が、どう
やら2大潮流のよう。 たぶん砂浜建築
独特のノウハウがあるんでしょうね。

この辺りは、次回のレポートで詳しく
(しなくてイイですね、やっぱり(笑)。
夏はもうすぐそこなんだな〜。



6月5日


仮設建築物の王者、それは海の家です
(と、勝手に決定)。
にもかかわらず、それがどうやって砂
地に立っているかを知っている人は少
ないでしょう(というか、そもそも関
心がない?)。

で、見てきました、また(笑)。進ん
でるかな〜、って。写真は「御柱タイ
プ」と流派を二分する「数で勝負タイ
プ」です。どうです、堂々とした数で
の勝負っぷり。これで、ひと夏の海水
浴客の皆様の、のべ全体重をささえて
いるんですね。キチンと整列した造形
に、何だかそそられます。

それにしてもこの日は風が強かったの
で、サファーの方々が多い月曜昼間の
由比ケ浜でした。



6月8日


魅惑の(と思っているのは、たぶんボ
クだけ)砂上仮設建築物、 その名は
「海の家」。
いったいどうやって建っているでしょ
うね、砂の上に。その答えのひとつは
コレ、堂々の「御柱(おんばしら)タ
イプ」です。どうです、このシュール
な風景。パワーショベルで穴を堀り、
一本一本心を込めて、電柱状の丸木を
立てています。その姿は、諏訪の神社
で執り行われる「御柱祭」の様(見た
事ないから、あくまで想像ね)。

実はこの写真、去年の9月の撤去時の
様子。突然現れたシュールなこの風景
を見て、海の家の構造に興味を持った、
というわけ。知ってる人には当たり前
で、関心のない人にはどうでもイイ事
なんですが、この強引な建て方が工作
っぽくてステキだと思いませんか?
(思わないな、たぶん・・・)




6月12日


ご覧ください。仮設建築物の雄、海の
家の砂上基礎現場!名付けて「御柱
(おんばしら)タイプ」の2012年バー
ジョンです。

シーズン終了後の、虚無感漂うシュー
ルな姿も良いですが、これから戦いの
現場となるフレッシュな途上段階も味
わい深さがありますね。注目は、パワ
ーショベルで御柱ってる作業状況です。
掘るだけでなく、掘削機でさらに砂下
部をだめ押ししているのが確認できま
す。パワーショベルが労働する姿は、
ボクの迷著「ここほれガッチャ!」
(童心社刊・買ってね)を彷彿させま
すね。

と、一応、現状こんな感じ、
の由比ケ浜〜。




6月14日


個人的に勝手に盛り上がっている「砂
上仮設建築基礎問題」。
つまり「海に家って、どうやって砂の
上に建っているのかな〜?」ってこと
なんですが、まあどうでもイイことで
すので、適当に流してください(笑)。

さて、「御柱(おんばしら)タイプ・
ホワイトバージョン」です。どうです、
これまた独特の枯れた感じがたまりま
せんね。
スケール感は、左上のトラックで計っ
ていただきましょう。堂々たる御柱タ
イプ、のはずなのに妙に華奢な感じが
するのがポイントです。梁が組んであ
るので、柱の自立感が薄いんでしょう
ね。さらによく見ると、丸太がハリガ
ネでくくり付けられていて、危うさも
演出(?)されています。

ちょっと骨っぽい感じが、仏教的な白
骨観(びゃっこつかん)を連想させ、
煩悩が飛んで行くようです(なワケない)。




6月19日


青い空に、青いトタン屋根がまぶしい
ぜ!働く仮設建築・海の家も、屋根が
かけられてしまいました。内部構造が
見えなくなると、気持ち的にもトーン
ダウンですね。働くオジサンたちが、
黙々と隠す作業(違うかな?)を進め
ています。

それにしてもトタン屋根。コレは味わ
いがありますね。もし「海の家キット」
が販売されるとしたら、トタンは必須
アイテムでしょう。サビが出てきたり
なんかすると、さらに魅力的です。
「ワンウオッシュ・サビ浮きユーズド
キット」は、きっと人気が出るでしょ
う(ダメ?)。

が、しかし、そのトタンの魅力を持っ
てしても、砂上の基礎構造が見えなく
なってしまうと、トタンに海の家に対
する興味は失せてしまうのでした。海
の家の夏も終わったな〜(笑)。




6月22日


壊れてました、海の家・・・。

タイフーン4通過の翌日に、トボトボと
ランニングしながらの偵察では、トタン
屋根がところどころはがれている程度で
した。が、2日後にもう一度巡回(つま
り散歩ね)してみたところ、どうやら
倒壊したらしき現場が!ランニングコ
ースから外れた場所だったので、気が
つかなんだ〜。

「数で勝負タイプ」の基礎が、どうやら
強風に耐えられなかったよう。おそらく
昨日から片付けが続き、基礎から作り直
しているんでしょうね。現場の人たちの
表情が、力一杯暗いんですよ。まあでも
、営業が始まる前で良かったとも言えま
すね。

ちょっとマイナーな空気の流れる、台風
後の由比ケ浜でした。

2012年5月20日日曜日

地図が好き(No.152)


さて、地図を見るのがとても好きなの
だが、それはすなわち自分の位置を確
認したいというと気持が強いのだろう
な、と思う。

地図で確認しながら車を運転するのが
ちょっと辛くなってきたので、いやつ
まりは老眼力が作用してきたので、ナ
ビゲーションシステムなるものを導入
したところ、途端に位置確認は衛星に
よって自動化されて、ハッキリ言うと
つまらなくなった。

画面上の地図らしきものに、現在位置
確認がキチンと示されているにもかか
わらず、迷い子になっている気分とで
も言うか、とにかく感覚的に位置確認
が出来ていないのだな。

何故なんだろう?

それは、全体像が把握出来ていないか
ら。というのが暫定的な答え、つまり
仮説としてみた。

全体が分かるから、その中のどこにい
るのかが始めて理解出来る。ところが
どっこい、ナビは部分的な情報しか示
してくれない。その上、結構場当たり
的な意思決定の姿勢が見える。
 真実は常に相対的だからして、比較
対象がハッキリしていないと事実確認
も難しくなるんだろうな。

ナビは正確な情報を与えてくれるし、
いろんな表示もできるのだが、いかん
せん自分中心だ。しかもご丁寧に、声
で優しく導いてくれるもんだから、思
考力すら低下した気がする。

全体像を把握せず、行動は場当たり的。
かつ自分中心で、浅い思考力。ってち
ょっとひどいから、良いところも考え
てみようじゃないか。

まず、記憶力が凄い。プログラムされ
ているとはいえ、打つ手の数は人間の
比ではない。しかも判断力と決断力が
凄い。全く迷ってないもんな。いや、
多分考えてもいない。さらに曖昧さも
なく、事実のみを遠慮なく示す冷静さ
がある。



う〜ん、優秀だけどちょっと冷たい奴
だな。 明快なんだけど、話すと何故か
不安にさせるタイプかも。

ういえば昔、留守番電話を導入した時
にわかったのは、もしかしたら誰かから
電話があったかもしれないな、という曖
昧な部分に対する想像力が無くなること
だった。




情報通信の発達で、同じような隙間感と
いうか曖昧さに宿る想像力というか、そ
ういった感覚の住むスペースが、どんど
ん無くなってきている気がする。

だいたいこの辺りにいるんだろうな、と
周囲の状況を地図の中の情報に照らし合
せながら判断して動きを読んでいくのが、
地図の楽しさだからして、そんな迷いを
与える暇さえないナビがつまらないのは
当然と言えば当然なのだろう。
しかも、自分の判断で決定していない
から、意識が定まっておらず、精神的
に迷い子のような感覚に落ち入ってい
るのだろうな。

 だろうだろうと、推測しつつの位置
確認が、実は楽しかったりするのかな?
あんまりハッキリとした事実を突きつ
けられると、空想の余地がなくなって
希望を失ってしまうのかな?曖昧さっ
て、甘えに近いものなのかな?

そういった疑問な空間の中で漂うよう
な地図で遊ぶ感覚が、ナビでは提供さ
れないことだけは確かだ。

 コレって、高度な情報化の中にいる
息苦しさと、ちょっと似ているな、と
感じつつ、その中から何を自分で選択
していくかが結構大事だな、と たか
だかナビを操りながら気がついたとい
うとだけの話なのだった。




何事も体験してみるもんだな〜。

2012年4月13日金曜日

中学美術(No.151)

長男が中学生になった。
ので、仕事柄、中学校の美術を応援
するのである。


上のサイトは「中学校美術」という
ページ http://jhsart.net/で、勢力的
に情報を発信されている北海道の中
学校美術教諭:山崎さんと、大学の
後輩で、滋賀県の中学校美術教諭:
梶岡さんたちが始めたもの。現場の
先生方のがんばりがひしひしと伝わ
ってきて素晴らしい。注目しつつ、
現場の先生方の迷惑にならないよう
に注意しつつ、自分も商業美術の人
間としてお役に立つことができれば、
とイノセントに思うのだった。

自分自身も、大学では中学校美術教
育を専攻していたので、事情もある
程度分かる。
もちろん東京都図工研究会(とずけ
ん)の方々などに教えていただきつ
つ、小学校の図工との関わりも続け
ながら、子どもの美術の事を考えて
いきたい。

あっ、絵本やイラスト、立体制作も
プロとしてしっかりやりながら、ね。

それにしても「ながら」が多いのは、
どうも興味が多方面にわたるからか
もしれない。しかし、コレも自由業
の特権で、自分の型を無理に決めず
に進んで行くため。なるべく自然な
態度で物事にあたりたい。

なんだか、4月だから、所信表明み
たいになったな〜。
いずれにしても、好奇心とユーモア
を忘れないようにしたいねぇ。

2012年3月14日水曜日

小学校で図工ーその6(No.150)

小学校での図工ゲスト授業、5日目。
(ぜひ、その1から見てください)

小学3年生76名の「うれしい顔」も
すこしづつ完成に近づいていく。

前の2回、天候が悪くて使えなかった
外デッキでも、今回は制作可能。
のんびり感がイイ感じ。でも、ちょっ
と最後のがんばりを出してみよう、と
アドバイス。あ〜、こうやってズ〜と
描いてたいな〜、の声もあり。確かに
自分もそう思った記憶がある、という
か、今でも思っていたりして(笑)。

楽しむことも大事だけど、「よし出来
た!」の達成感も必要かな、と。

手パレット作戦も登場。図工室がない
環境で、どうやって思い切った塗りが
できるか?と、いつもの机を使わずに
床で画板(ものすごい久しぶりに発掘
)を使った効果が出て来た(かな?)。

で、楽しい試みは伝染する。勢い余っ
ってこんな事に。どんどんやっていた
だきたい。

メガネの中の自分の目を、すごく見つ
めて丁寧に描いている。進行は遅れ気
味になったが、最初の取り組みがここ
にきて生きてきた、と感じる。やっぱ
り子どもの美術は、じっくりと蒸らす
ように、が大事だなぁ。

あともう少し。すごい集中力で描いて
いる。特に図工が大好き(と言ってい
た)な子は、完成させるという意地も
あるよう。この子は、「もっとこんな
授業があるといいな」という感想をく
れた。泣けるな〜。

そして今回も、あっという間に90分。
ありがとう、良い時間だったよ。


実は今回、指導案を作る時に「十分
時間はあるな」と考えていた。なの
で、いろいろと余計な(?)実験的
な試みや導入も織り込んだのだが、
それがやや消化不良になって、完成
が遅くなってしまったように感じた。

ま、仕掛けをしたら、後は素直に、
そしてシンプルに、落ち着いてじっく
り見るのが良いのだろう。そして子ど
もたちからジワっとわき出してきたも
のを、丁寧にすくいあげるのが肝要だ
とも実感した。

と、同時に、指導をまかされると、当
然ながら進行具合が気になるのも事実。
時間に余裕がない先生方が、つい**
式(酒井式とかキミ子方式など)とい
った形式的な方法に頼ってしまうのも
わかる気がした。本にもまとめやすい
から、その手の指導法がたくさん書店
にも並んでいるしね。

ただ、美術は試行錯誤が面白いし、そ
れを試みる意識も大事な要素のひとつ。
たとえ上手くいかなくて、自分で考え
て試していく事が、子どもも、指導す
る側も大切にすることだと思う。

図工や美術教育は、手前の完成を目標
にするのではなく、もっと遠くの先を
見ての取り組みとして考えると、けし
て何とか式の方法にはならないはず。
そしてそれは単純におとな側の安心の
ための方法なんだという事もわかる。

言うは簡単だが、実行するにはガマン
とパワーと工夫と時間が必要。

だからこそ、仕事という形で、ガマン
とパワーと工夫と時間を駆使して作品
そのものに向き合っているプロの美術
家も、何か力になれるとも感じた。

教育現場に、こういった形でチラリと
参加させていただき、とても勉強にな
った自分としての、それが率直な感想
だった。

こんな感じの授業で良ければ、呼ばれ
たら、どこでも行きます!の気持ち。
でもやっぱりヘンテコな工夫を重ねる
と思うので、歓迎はされないのかも。

あ〜、今回は真面目だった。

小学校で図工ーその5(No.149)

小学校での図工ゲスト授業の4日目。

残りの2回は、余計なことをせずに
制作時間をできるだけ確保の作戦。
もう、子どもたちは十分に勢いが
ついているので、どんどん進む。
いつもの黒板落書きも、シンプルに「
励まし・応援」モードに。

もちろん進行には個人差がある。この
あたりから、子どもたちそれぞれを、
出来るだけじっくりゆっくり、声をか
けながら見ていく。こちらがゆったり
構えていくと、不思議と子どもたちも
落ち着いて作品に向かい合っていく。

みんな、本当に楽しそうなイイ笑顔で
描いている。お見せ出来ないのが残念
なくらい。

子どもたちも、こちらも、やっとペー
スが安定してきた。こうやって見てみ
ると、いかに日頃からの取り組みが大
切かがわかるなぁ。ペース取りは、縦
走登山やマラソンなんかにも共通する
ような気がする。

いつもは単発のワークショップが多い
から、どうしても「勝負!」的な勢い
で雰囲気を創っていくことも多い。で
も実はこういった、落ち着いて創作に
向かい合う事が、子どもたちにとって
(もちろんおとなにとっても)大切な
んだな、と実感。

さて、次回は最終回。ちゃんと子ども
たちの中にあるものを引き出すきっか
けくらいはできるかも、と感じつつの
90分間。

まだあと一回、つづく。